オーバーダイ/パッチワークラグ

使い古したヴィンテージの手織りラグを、後染め加工したリサイクルラグ。アンティークな雰囲気が漂います。

リサイクル?いえいえアップサイクルです。 「もったいない」から生れたオーバーダイドラグ

「もったいない」から生れたオーバーダイドラグ

5月にはいって、当店では初めてイラン産のオーバーダイドラグが入荷してきました。
オリジナルのじゅうたんは、もちろんイランの手織り絨毯で、ウォッシングもイランで加工されています。トルコのラグとは一味違った趣で、これからますますオーバーダイドラグの世界が広がりそうな予感です!

今回は、どんな絨毯なの?というご説明も含めて、かっこいいオーバーダイドラグの世界をご紹介いたします。

環境にもやさしいという点が現代のニーズにマッチ

オーバーダイドラグは、インテリアとしての魅力だけでなく、環境にやさしいということも、ちょっと頭の片隅に入れておいてほしい点です。トルコの家庭で手織りされた絨毯は、長い間使われて、すり減ったり汚れたりして古くなってゆきます。せっかく手間をかけて織った絨毯でも、これまでは使い古したあとは行き場がなく廃棄される運命にありました。
オーバーダイドラグは、その廃棄される手織り絨毯をもう一度使うためにリメイクしたもの。しかも、手間のかかる様々な加工をすることで、単にUSED品をリサイクルするだけではなく、まったく新しいイメージに生まれ変って、現代のインテリアにマッチした洗練されたラグとして蘇るのです。

このプロセスは、廃材を利用したリクラメーションの考えにに通づるところもあり、廃棄物を減らしながら利用価値を高める点ではアップサイクルとも言えるでしょう。ECOの観点からも、オーバーダイドラグは21世紀の私たちのニーズにあっていると思うのです。

年号の入ったキリム

アップサイクルされてよみがえったオーバーダイドラグ。

手織り絨毯にとって第二の人生の始まり。なんだか少しイキイキして見えませんか?

オーバーダイ加工とは?後染めだけではない数回のウォッシング

オーバーダイというと、上からかぶせて染めるという意味で「後染め」と呼ばれることが多いですが、実際には色を加える前にもきちんと処理がされています。

水洗いでクリーニング

使い古された絨毯は、まず最初に汚れを取り除くために丁寧にブラシをかけて水洗いされます。

ブリーチ(脱色)

次に、絨毯をコンクリートの大きなプールに沈めてブリーチ(脱色)します。ここで脱色しても、ウールの繊維にダメージがない溶剤が開発されたことが、オーバーダイドラグがメジャーになったことに大きく貢献しているだろうと思います。ブリーチ後のラグもウールにはツヤがあり、なめらかな肌触りがキープされています。

キリムのブリーチ加工

コンクリートのプールに沈めてブリーチします。この日は鮮やかなキリムがはいっていました。

もう一度洗って乾かす

ほどよく色が抜けてきたら、もう一度水洗いして、天日で乾かします。この段階で、さらに色を加えて後染めにするか、ブリーチしたままの色をいかしてそのまま販売するか見極められます。ブリーチしただけで後から別の色に染めない絨毯は、ヴィンテージウォッシュなどと呼ばれ、オーバーダイとは区別されることもあります。

ラグを水洗い

ラグをブラッシングしたあと、大量の水を使って洗います。

ラグを干して乾燥

地中海の風に吹かれて、カラっと乾燥。

後染め加工

オーバーダイドラグの場合、ブリーチした絨毯を再び染料の入ったプールに入れ、熱を加えて染め上げます。(この作業は染工場の秘伝のレシピですから、写真はなしです)

パイルを刈り込んで使い古した雰囲気に

染め上げられたラグは、パイル(毛足)を整えます。整えるといっても、ほとんど毛足が見えなくなってしまうほど、短く刈り込むことが多いです。パイルがすり減って、結び目だけが見えているような状態をつくって、長い間使われていてパイルがすり減ってしまった感じを出します。
このアンティークな雰囲気をつくるところは絶妙なテクニックが必要!いい具合に仕上げるのは職人技としかいいようがありません。(やりすぎるとただのボロになってしまいますからね)

パイルを短く刈り込む

パイルを短く刈り込むシャーリング加工。かなり大胆に、パイルを削り落としていきます。

美しく仕上がって、第二の人生を待つラグ。

このように、オーバーダイ加工は単なる後染めにとどまらず、なかなかに手間がかかる工程を経て仕上げられているのです。

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次のページでは代表的な仕上げパターンをご紹介いたします。

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