時代を織り込む : 年号とサインが語る手織りラグ
目次
名前や文字の織り込まれたキリムとラグ
ELiF エリフの文字

シワスキリム ELiF の名前(13727)

ELiF エリフという女の子の名前が、二か所に織り込まれています。織っている本人のサインのようなものか、生れてくるわが子の名前なのか、このキリムからはわかりません。文字の入っている2つの場所も、ちょっと変わっていますね。
FATMA ファトマの文字と1957年の年号

チョルム オールドキリム1957年(8118)


大型のチフカナットキリムで、1957年、Fatma とこちらは年号と名前が両方はいっています。推測ですが、ファトマという女性がお嫁入りの時に持参するために織ったキリムであろうと思います。幸せいっぱいの気持ちで織ったキリムだと思うと、モチーフの一つ一つに温かみが感じられますね。
MAZEMI 名前の入ったアフィヨンのキリム

名前の入ったオールドキリム MAZEMI(21941)

こちらもお嫁入り道具として織られたと思われる、アフィヨン地方の大きなチフカナットキリム。MAZEMI マゼミという名前に読めます。織られた年代は、1950年代後半でしょう。もともとタペストリーとして壁を飾るキリムとして織られたようで、飾りとしてガラスビーズが一か所だけ織り込まれています。織りあがった後に付け加えたものではなく、キリムの織りの横糸にしっかりと通っているビーズで、何かおまじないのような意味が込められているのだろうと思います。
GENEL KURULU 総会を記念したキリム

文字の入ったオールドキリム GENEL KURULU(24302)

ファミリーネームなどが織られることの多い文字入りのキリムの中で、ちょっと変わり種がこちらのキリムです。TOBB GENEL 52.KURULU と織り込まれています。調べてみるとなんと「第52回TOBB総会」という意味らしく、商工会議所のようなところで会議を記念して織ったキリムだったのです。そんなキリムを売ってしまっていいの?と思うのですが、記念のキリムとしての役目は終えたということですね。当店に在庫されているキリムの中でも、ちょっと変わった来歴の一枚です。
最後に
これまで、年号やサイン文字が織り込まれたキリムやラグを見てきました。手織りのキリムやラグの背景をみてみると、それぞれに様々なドラマがあったことがわかります。家族のイベントを記念して織られたキリムや、嫁入り道具として準備しただろうキリムなど、自分たちの為に織られたキリムやラグは、生活に密着している文化といえますね。
そんなオールドキリムが、数十年の長い時間を超えて、はるか遠い日本へやって来て、そしてこれからまた新しい人たちのもとで別の暮らしが始まるのですから、なかなかに壮大な旅路ですね。
今回は、現在店内にあるキリムとラグを中心にご紹介してきました。これまでに販売した中にもユニークな文字入りキリムがありましたので、また別の機会にご紹介いたします。
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